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      ケムの日々是好日

      ケムの日々是好日

大学で講義

11月26日の日記にある通り、茨城大学で講座を受け持ちました。

地域連携講座・2 ということで、弊社が所属する経営者協会が茨城大学で
講座を持ち、その講師を会員企業の代表者などが受け持って行っています。

お話を受けた時には、講座の前に大きな旅行が重なっており、準備不足に
なりはしまいかと危惧しました。
しかし、講義を受け持つことが自分にとっての刺激になるし学びにもなる。
そう思ったのも事実で、ふたつ返事で「お受けします」と答えていました。

受けてからの数か月、実は自分なりに悩みました。


「いったい何を伝えれば良いのか?」

そう、僕はこの業界のことをどれほど熟知しているのかを測ってみると……
あまり、プロを名乗るほど仕事熱心ではなかったことに気づいたのです。

「何を伝えたいのか?」

子供たちに何を伝えれば良いのかを考えてみると、いくつかのポイントが
挙がりましたので、これをランダムですがパワーポイント化してみたのです。

「子供たちは何が知りたいのか?」

既に口座を受け持った先輩のお話を伺って、いくつかのヒントを頂きました。
それは
 「生の情報」 「自分の言葉」 「人間性」 などでした。

悩みながら、毎日の実務と通り過ぎる行事をこなしていくうちに気づくことが
いくつかあって、それを言葉(パワーポイントの表題)にしてみたのです。

枚数で40枚くらい、それを並べてストーリーを展開してみたのですが……
なかなか上手く繋がらなかったり、別な路線に走ってしまったりしました。

後にテーマになった「悩みながらも前に進む」を実践していたのでしょうね。
時に企業人、時に父親になり、子供たちに伝えたいことを書きました。
時に哲学者、時に詩人になって、自分から発信する言葉を紡いでみたのです。

人文学部を中心とした2、3年生に対して行う講座ですから、問題がいくつか。
・工業の話を専門的な言葉にして語っても判ってもらえないだろう。
・宗教的な話にしてしまっては、講座が成り立たないだろう。
・知ったかぶりをしても、ボロが出るだろう。
・説教臭くなっては、聴いても貰えないだろう。 などなど。

締切の直近になって、ようやく骨子がまとまったので経営者協会の事務局に
メールで添付しました。
そして、それを持って法人会青年部の「全国青年のつどい」に参加したのです。

パワーポイントペーパー一枚ごとに、自分の言葉で物語を作ってみるのですが
それはなかなかに難しいものでした。

何度もなんども、電車の中で、飛行機の中で、深夜のホテルの部屋で……

講義の情景をイメージしながら、子供たちの顔を眺めている自分を想像して。
子供たちの視線の先にある自分は、何を語ればいいのか……
やがてうっすらと見えてきたのは、佐世保に入ったころでした。

佐世保重工のネオンを見ながら、日本を支えてきた基盤産業のパワーを感じ
それを支えている中小、零細企業の素晴らしさも実感したのです。
すると、ペーパーたちが頭の中でつながってきて、言葉があふれて来ました。

慣れ親しんだ水戸の袴塚あたりに車がやってくると、気持ちが高ぶりました。
事務局の方々と落ち合うとちょっと緊張も解けましたし、担当教授との面談では
教授が話し上手なこともあって、大分落ち着くことができたのです。


講義は、あっという間に終わりました。
「案ずるより産むが易し」でしょうか。

子供たちが僕を見つめ、僕は視線を投げ返す時間。
真剣な表情が僕を見つめ、僕もガチンコで対峙しました。
僕のガチンコとは、これ。
「肩に力を入れず、伝えたいことを自分の言葉で判り易く語りかけること」

これに傾注することで、講義の緊張や高いところに立つ恥ずかしさ、などが
一切発生せずに時間一杯を語りとおせたのだと思います。


そして今日、講義を聴いてくれた学生たちから贈り物が届きました。
講義の直後の20分間で、僕の講義を聞いた感想文を記入していたのです。
ひとりひとりが、自分の言葉で感想を書き、評価をしてくれていました。

事務局の方がこれを僕よりも先に読んで、メールで報告してくれました。
「とても子供たちの為になったようで、僕も嬉しかったです」、と。


病院に父を連れて行き、診察を待つ間に感想文の束を一気に読みました。


涙があふれるほど……は出ませんでしたけれど、やはり嬉しかったです。

待合室にいるのに、まるで学生たちと一緒に向き合っているような感覚で
彼らが持っている悩みや不安を、一枚一枚の感想文の中に見ました。

子供たちとは言え、大学生活を過ごす20歳、21歳の若者です。
発展途上の部分もあれば、経験の中でつかんだモノを軸に生きている人も
コンプレックスを抱えながら頑張っている人もいます。

そんな彼らが、僕の言葉、僕の講義を明確に評価してくれていたのです。
外部講師ですから、評価の点数も甘く付いているとは思いますけれど……

自己紹介では
「今までの講師にはない、ユーモアを交えての楽しい自己紹介でした」
・まぁ、自分を知っていただくことから始めないと、ですものね。

仕事としている業界の話の部分では……
「私たちにも判り易く解説してもらえたので、金属業界が理解できた」
・語りつくせない業界の話はありますが、彼らの生活に関与している部分を
 かいつまんで話すことで、参考程度になるかと思いました。

大企業を支えている中小企業。それを支えている零細企業、の部分では
「就職活動では大企業にだけ目を向けましたが、それ以外にも注目したい」
・日本を支え続ける一員になりましょう!

自分の会社の成り立ちについては
「会社は必要とされるからできるのだし、機転から創業出来ると知った」
・喰うために始まった事業も、必要とされるから続くのですものね。

毎月の給料袋の中に入れている「社長からのメッセージ・月暦」の部分では
「社員やその家族のことも大切に思ってくれている社長さんなのですね」
・本当はそれを対話まで持って行くことが大切なのです。今後のテーマね。

働く意義<人のお役になる仕事なら>の部分では
「どんな仕事に就いても、その中でやりがいを見つけられるようになりたい」
・世の中は、みんなそう思って毎日のお仕事を頑張っているのですものね。

アルバイトで学んだこと、では
「達成感は得られた、就職してもそうなれるかどうかは捉え方次第ですね」
「経営者が優しいから、期待に応えたいから頑張れた」
・社会の縮図を垣間見ることができるアルバイトは、やってみるべきですね。

コンプレックスの歴史を語っていた部分では
「私も同じようなコンプレックスを持っていたが、乗り越えるよう頑張る」
・僕も大学時代に色々抱えていたので、彼らの言葉が心に沁みました。

コンプレックス……視点を変えることで「僕の幸運」と読んだ部分では
「物事を捉える角度次第で、不幸も幸運にとらえることができる事を学んだ」
・それを<前向きに捉える>とも言いますから、必要なことですよね。

成長のコツを紹介した部分では
「悩みながらも一歩前に進むことの大切さを知りました」
「誠意をもって接し続けることが大切だと再認識しました」
「自分を愛し、周りの人のことも、もっと愛せるようになりたいです」
「講師は皆前向きなのではなく、前向きに生きているから頑張れるのですね」
「不器用さを否定せずに、そんな自分に誠実に生きて行きたい」
「自分を理解してくれている家族や友人を大切にしていきたい」
「時間がたくさんあるこの学生時代に、自分をもっと見つめます」
「自分の言葉で発信することの大切さを知ったので、ブログも頑張ります」
などなど。
・自分に活かせる部分だけでも、心に持って頑張ってください。


70枚にも及ぶ感想文の束を前にして、目を閉じると……
その時の、真剣な子供たちの顔が目に浮かびます。
僕のジョークに笑ってくれた子もいれば、どんな顔をすればいいのか判らずに
僕を眺めている子もいました。
人の話を真剣に聴くことも生きる上で大切な修行ですから、それが出来ていた
あの子供たちは立派だと思います。
それを感想文として、数分のうちに言葉に変えて発信していくことも大事で
この束を見るとそれがちゃんとできているから、すごいことです。

この講座を受け持った結果として、最も沢山の気付きを得られたのは僕で
僕はそのチャンスを自分のモノにできたのだという実感をしています。
これはとてもありがたいことです。
チャンスを与えてくれたこの企画に感謝します。


「悩みながらも前に進むしかない」=受諾から準備、実践までの日々。
これを実感できたのも、この企画のおかげです。

「他人に愛を与え続けなさい」=子供たちに伝えたい本当のこと。
これを実践できたのも、この企画のおかげです。

本当にありがとうございました。
僕が今回、気づき、成長できた分だけ、また社員や家族に分かち合います。
子供たちからの感謝の気持ちを、自分へのご褒美として迎え入れます。

この僕を産んで、育ててくれた両親に感謝します。
そしていま、過去に遡って、僕を愛し、支えてくれた人に感謝します。

ありがとうございます。










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